インド 木版更紗の展示を見てきました

先月末、自由が丘の岩立フォークテキスタイルミュージアムで開催されている、「インド 木版更紗 – 村々で出会った文様の原型」を見てきました。

更紗とは、16世紀末より17~18世紀にかけて日本に輸入された外国の木綿の模様染めの総称で、その技法は主として手描き・木版・蝋防染によるものです。今日では日本への輸出品に限定せず、木綿の染色品を広く「更紗」と呼んでいます。

今回の展示はインドの木版更紗。館長の岩立広子さんが40年以上インドに通って収集した美しい布の数々が展示されています。

木版は「ブロックプリント」とも呼ばれ、文様によって使い分けた手彫りの木版を押す、ラジャスタンやグジャラートを中心に古くから伝わる手仕事です。実際に使われていた木版も展示されていましたが、その緻密さに驚きました。色を付けるときの木版と防染用の木版を同じデザインで二つ作らなければならないそうで、一枚の布に24の色を使うこともあるそう。木版を作るだけでも想像を絶する作業量です。

継ぎ目が分らないように複数の色を正確に押していくブロックプリントですが、この展示では商業用につくられたものだけではなく、生活の中で使われたものが多くありました。そういったものは版がずれていたり濃淡があったり、破けた部分が継ぎ接ぎしてあったりして、一層力強く活き活きとしていました。草木染のものに、糊付けのための卵白が塗られたものなど、今では見られない貴重な未使用の布も展示されています。

現在では化学染料を使用し、機械印刷で作る工場が多いそうですが、各地方に伝統が残っており、花や自然をモチーフとしているものはどこの地方が多い、この地方では直線的・幾何学的な文様が多い、など、地方色豊かな点は日本の手仕事とも共通しています。

大量生産による利益や便利さを求める社会とは、逆方向の暮らしかた。かつてのインドの貧しい人々の暮らしでは自分で自分のものをつくるのが当たり前で、知恵とそこにしかない美しさが生まれる。岩立さんは「手仕事は暮らしがあるから生きるもの」とおっしゃっています。その美しさをより多くの人に知ってもらうことで、手仕事を未来に残していきたい。そのような思いはmoyaisとまったく同じであると感じました。

小さな空間ですが、遠い場所の暮らしに思いを馳せ、ゆっくりと豊かな時間が流れていきます。

岩立フォークテキスタイルミュージアム
インドの木版更紗
2018年4月5日~2018年7月14日(木金土開館)
東京都目黒区自由が丘1-25-13 岩立ビル3F
03-3718-2461

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