柚木沙弥郎の染色 もようと色彩

久しぶりに日本民藝館へ行ってきました。今回の展示は「柚木沙弥郎の染色 もようと色彩」。

柚木沙弥郎さんは柳宗悦の思想と芹沢銈介の作品に啓発されて染色家を志しました。生命力を感じるもようと鮮やかな色彩。その独特の世界観は多くの人々を魅了し、これまで国内外でいくつもの展覧会が開催されています。96歳の今なお旺盛な創作を続けています。

館内は撮影禁止のため、作品のご紹介はできませんが、まず玄関から入ってすぐ、天井の高い広間に展示された大きな型染布の迫力に圧倒されました。館内では柚木さんの作品だけでなく、同時代に活躍した作家たちの仕事や、世界各地の工芸品、桃山時代以降の絵付けが施された日本の器、室町時代から江戸時代にかけての漆工芸などが併設展示されています。

それらは柚木さん自身も影響されたであろうものたちであり、仕事は全く違っても「ものの内に存在する、単純だけれど生命を感じさせる力」のようなものが共通していて、いろんな視点からものや模様について考えを巡らせることができます。この四次元で考えさせるような民藝館の展示は見るたびに驚かされます。

特に今回感銘を受けたのは、アフリカやメキシコのプリミティブな工芸品と江戸時代に作られた日本の船箪笥です。儀式や祭礼のために作られた手彫りの人形や仮面。海に投げ出されることも多かったにも関わらず、堅牢で複雑な金具で飾られていた美しい船箪笥。遠く離れた場所で使われていた、関連性のなさそうなものの間に共通する美しさを感じるのはなぜだろう、と思わず考え込んでしまいました。

一周してまた玄関に戻ってくると、柚木さんの型染布がよりおおらかに、生き生きと見えたのが不思議です。

受付でいただいた説明に書かれていた柳宗悦の「凡ての無駄を取り去って、なくてはならないものが残る時、模様が現れる」という言葉が印象的でした。

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