「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」

21_21 DESIGN SIGHTで開催されている、プロダクトデザイナーであり現・日本民藝館長である深澤直人さんディレクションによる展示、「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」を見てきました。

1925年、民衆の用いる日常品の美に着目した柳 宗悦(1889-1961)が、無名の職人たちによる民衆的工芸を初めて『民藝』と名付けてから90年余。民藝という言葉は様々に解釈され、「これは民藝品ではない」「本来の民藝とは」という議論がたびたびなされてきました。

深澤直人さんが日本民藝館の所蔵品から146点の新旧さまざまな民藝の品を選び抜き、その魅力を語るコメントとともに展示するというかつてない民藝の企画展。見終わったあと感じたのは「民藝はその人の直観に訴えるものだからこそ、受け取る人によって捉え方は様々である」ということ。「大切なのは民藝か民藝でないかではなく、柳宗悦の遺したものや言葉を常に新しい気持ちで見続けることではないか」ということです。
歴代の日本民藝館長や民藝運動の担い手でさえ、共感した部分は同じでも柳宗悦とは違った視点で民藝を語っているように感じられます。つまり、柳宗悦の見方、捉え方とまったく同じものを再現するのは難しいということです。現在では日本民藝館にある空間そのものや蒐集品だけが、今でも柳宗悦と同じ美の視点をもっているのではないかと思います。

例えば柳宗理のように工業デザイナーであれば、因州中井窯の縁抜き染分け皿のように、プリミティブなものから少し離れ、人間のデザインした空間やカタチを求めるという視点を持っています。また、例えば久野恵一さんのように民俗学が根っこにある人であれば、その土地の風土や暮らしから生まれた生命活動の延長であるが故の自然さ・力強さを民藝に求める視点を持っていたでしょう。プロダクトデザイナーである深沢直人さんのコメントからは、姿形を見たときにハッとする部分を大切にする視点が伝わってきました。

この展示では民藝のつくり手やそれを伝える人の暮らしと仕事を捉えた映像や写真、現代に生きる民藝の姿も紹介されています。民藝の品、つくり手の古今の姿を両方学ぶことで、民藝が未来に生き続けるためのヒントが得られるはずです。

宮城の肥料ふりかごと秋田・星耕硝子の吹きガラス。

「地域ごとの特色が失われ、ものへの愛着が希薄になりがちな時代だからこそ、民藝に宿る無垢な美意識と精神性は、使い手のみならずものづくりに携わるすべての人々に大きな衝撃を与え、新しい時代のエネルギーを生み出すきっかけとなるのではないでしょうか。」というこの展示のメッセージを受け止め、担い手として今後も民藝について常に新鮮な目と心で学んでいこうと思います。

 

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