六古窯の展示会に行きました

先週まで東京・出光美術館で行われていた六古窯という展示に行ってきました。六古窯とは中世から現代まで生産が続く瀬戸、常滑、越前、信楽、丹波、備前の六つの窯の総称です。

六古窯では12世紀(平安時代後半)に律令制が崩壊して以降、庶民のための器がたくさん作られてきました。中世のやきものの三種の神器といわれる「壷、甕、擂鉢」は当時の人々の必需品であり、貯蔵、運搬、保存、調理方法の多様化など生活様式の向上をもたらしました。それだけではなく土と炎から生まれるやきものは、精神、生命、祈りを表現するものとしても使われることが多かったそうです。特に素焼きのやきものは、当時の人々にとってこの上なく清らかな素材と考えられ、自沈供養の筒や骨壷などが数多く作られました。絵付けのないものがほとんどでしたが、花や鳥、浜などが彫ってある壷も多いそうで、中世の人々の心象風景が伝わってきました。

桃山時代になると茶の湯のための器が作られるようになり、流行・作風などが生まれ、徐々に器の様相も変わっていき、唐物の器の影響を大きく受けるようになっていきます。一方「物を本来のあるべき姿ではなく、別の物として見る」という見立ての精神が千利休によってもたらされ、古いやきものを別の道具として使うことが広がりました。

歴史を追いながら見ると、生きていくために「食べる」という意味でも、「祈る」という意味でも、やきものは日本人にとって欠かせないものだったと実感しました。そして無垢な心が生み出した日用雑器の力強くおおらかな姿形を実際に見ることができました。端正な中国の陶磁器に比べて、日本の中世の器は大きな歪みや炎の降り物が多いのだそうです。不完全性を受け入れ、そこに広がる景色を見るという中世の人々の精神性にも触れることができ、嬉しかったです。

六古窯の展示は終わってしまいましたが、今後も面白そうな展示がありましたらこちらでもお伝えしていければと思います。

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