うつわのいのち

前回の六古窯の記事で「器の見立て」について触れましたが、改めて日本人の器に対する執着や思い入れは、とても深いものだったんだな、と感じています。土を捏ねて作り、炎の中で焼かれ、食べ物を入れる。単なる道具ではなく、命が吹き込まれた祈りの結晶として器を扱ってきたのでしょう。

ものを無駄にしないための指標であるリサイクル、リユース、リペアという言葉がありますが、プラスチックが台頭するまでの日本にはもともとそういったことが普通に行われていました。見立てはリユース、金継ぎはリペアですが、単に物質的な無駄のなさではなく、そこには自然や人の命を器に重ねる独特な宇宙観があったのだと思います。作る側にとっても、その土地で採れる土を大切に使い続けることは、その土地の自然を守ることにつながります。

器は使い続けることで愛着が増し、使えなくなっても見立てや金継ぎによってまた命が吹き込まれ、この世でたった一つのものとなります。現代でも人々が大切にしてきたものや守ろうとしたものを想像しながら器を使えたら素敵だなと思います。

やちむん・緑釉8寸皿

瀬戸本業一里塚窯・灰釉角湯呑み(大)

森山ロクロ工作所・縁線描4.5寸茶托

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。