美しい緑の釉薬

民藝の器に出会った頃、各地の民窯で使われる緑色に心を奪われました。人々は紀元前から緑釉を用いていたと知り、これは古代から人の心に訴える色だったんだとうれしくなりました。

緑釉は、酸化銅を呈色剤とする緑色の釉。基礎釉に灰と銅粉を混ぜて焼成することで鮮やかな緑を呈します。その土地で育つ木や藁、貝などの灰を使うことで同じ緑釉でも色が異なります。紀元前2世紀頃からローマ領域で流行し、日本では7世紀後半にその技術が伝えられ、8世紀以降各地で緑釉陶器が製作されました。沖縄では緑釉を「オーグスヤー」といい、小鹿田などでは「青地釉」といいます。青森でも緑釉陶器が発掘されていることから日本全国に広がっていたことがわかります。

先日入荷した太田哲三窯の掛分皿の緑釉。緑釉は焼成時に金のような色を呈すことがあり、この世にたった一つの器が生まれたことも人々を惹きつけた理由かもしれません。

同じ窯で焼成されたものでもここまで違いがあります。

木灰や珊瑚の灰から生まれた、山や海を彷彿とさせる色。沖縄・やちむんに使われる釉薬は、珊瑚が死んでゆくことによって色が変わってしまうと聞いたことがあります。この色を未来に残すためには美しい山と海を残していかなければなりません。これは人々が2,000年以上地球の美しさに思いを馳せてきた色なのかもしれない、そんな風に感じました。

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