「祈りの造形」を見て

先日、日本民藝館の今年最初の企画展である「祈りの造形」を見てきました。

いつもの展示よりも流れるように心に染み入ったような気がしました。見たあとに展示のイントロダクションを読んで、その理由が腑に落ちました。

「祈りによって生まれた優れた造形は、常に宗教的な実用性を宿しています。それは作り手に、己を超えた大きな存在や亡き者を自覚させ、慎み深さや畏れる心、謙虚さを導き出しました。そして他の工芸品に比べ、個人や作為が表れることを抑え、美との結縁をいっそう濃くさせたのです。」

日常のために作ったものと祈りの気持ちで作ったもの。その違いを考えたことはありませんでした。

古の日本人や世界各国の先住民たち。自然を敬い、目に見えないものを大切にする人々はなぜそのように謙虚でいられたのか?その答えは「祈り」であり、大いなる自然と祈りが切っても切り離せないものなのだと改めて実感しました。

特に印象に残ったのは「絵馬」。願いごとのために、または願いごとのかなったお礼に、神社や寺に奉納するものとして知られていますが、かつての絵馬は形もばらばらで描かれているのは生き生きとした手描きの動物や人々。現在の機械的で画一的な絵馬には感じない力強い何かが伝わってきました。人々は今よりずっと祈りに囲まれて生きていたのだな、と感じられるとても良い展示でした。

せわしない日々の中でも、大いなる自然に思いを馳せたり、誰かのために祈ったりする時間は、自分の存在の小ささを感じさせ、心を穏やかにしてくれます。美しい民藝の器や手仕事の良品を使うことで、そのような豊かな時間が多く生まれることを願います。

「祈りの造形」沖縄の厨子甕を中心に
2020年1月12日- 3月22日

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